SYNCROOMについて
NETDUETTOとは?
遠隔地間の音楽合奏を実現するためにヤマハが開発した、インターネット回線を介してオーディオデータの双方向送受信を極力小さな遅れで実現するための技術です。
一般的に使用される IP 電話や遠隔会議システムでは、ある程度の音の遅延が生じます。こうした遅延は会話には支障がありませんが、お互いの音を聞きながら演奏する音楽合奏には不向きです。そこで当社は音楽の合奏に許容される範囲内に収まるよう、できるだけ小さな音の遅延でバッファリングを行う技術とルーターなどに特別な設定を行わなくても簡単に接続できる技術を組み合わせて『NETDUETTO』を開発しました。
『NETDUETTO』では、ネットワーク接続時に接続コンディションを計測し、なるべく小さいバッファサイズで、安定した通信を実現します。また、接続後もオーディオデータの遅延幅を常に監視しており、場合によっては自動的にデータを補正し、ネットワークの揺らぎを吸収するなど、ネットワークを介した音楽合奏を成立させるための様々な工夫が盛り込まれています。
なかなか集まることが出来ないメンバー同士がオンラインでバンド練習を行ったり、遠隔地にいるミュージシャン同士がリアルタイムにライブセッションを披露したり、自宅からグループレッスンに参加することを可能にしたりするなど、場所にとらわれない音楽の楽しみ方を広げる技術です。
NETDUETTO(R)の技術的特長
NETDUETTOには以下のような特長があります。
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1.ネットワークへの簡便な接続
家庭用のインターネット回線で、ルーターに特別な設定を行わなくても、通信を簡単に行うことができる仕組みを持っています。[*2]
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2.バッファ制御による通信安定性の確保
ネットワーク上の通信の揺らぎを吸収し、できるかぎり音楽的に破綻しないような工夫がされています。
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3.さまざまな環境への適応性とプラットフォームの非依存性など高い汎用性
『NETDUETTO』のコアとなるソフトウエア部品は、特定のOSなどに依存しておらず、さまざまなプラットフォームへの高い移植性を持ちます。
- [*2] 一部環境ではルーターの設定が必要な場合があります。
「音の遅れ」とは?
通常の音楽の合奏をしているとき相手に音が届くまでに「遅れ」があります。
たとえば、大気中での音の速度は約340m/s(一秒間に340m進む速さ)ですので、5mはなれた相手に届くには、15ミリ秒(ミリ秒=1/1000秒)の遅れがあります。現実的には、この程度の遅れであれば、人間は問題なく合奏をすることができます。
この音の遅れが大きくなるほど、合奏は難しくなりますが、ある程度までの遅れであれば、人間は相手の音を「予測して」あわせることができます。
近年、インターネットの進化によりネットワーク上の遅れは非常に小さくなってきています。
NETDUETTO技術と高速なネットワーク回線を組み合わせることで「音の遅れ」をできるだけ小さくし、オンラインでのリアルタイムな合奏を実現することができます。